トランプは世界をどう変えるか

今週は、アメリカの大統領選挙でドナルド・トランプが勝利するという大波乱が起きたことが世界中の人々を震撼させました。

ほとんどメディアがトランプが大統領になることはないと報じていた事実をことごとく裏切ることとなったこの結果。僕の少ないアメリカの知人もFacebook上で悲しみに暮れていました。

ちょうど1年前、アメリカのカリフォルニアに短期留学していたのですが、ホストファミリーもテレビでトランプを見て

「こいつだけが大統領になることだけは避けなければならない」と言っていたくらいトランプを嫌っていました。少なくとも、トランプを支持すると公言していたアメリカ人はいませんでした。

 

 

では、なぜ予想を裏切る結果となったのか?これは、トランプを支持するということが一種のモラルへの反抗でもあったため、支持を公言はしないものの、現状のアメリカにどこか不満を抱いており、もう一度アメリカを強い国にするというトランプの大胆な政策に賭けてみたいと思う米国人が多かったということに違いありません。

では、結局トランプが大統領になることで、世界はどう変わるのか?そして、自分たち個々のレベルでどのように生きていくべきなのかを少し考えていきたいと思います。

 

 

 

まず、トランプはいくつもの大胆な政策案を掲げていましたが、その中でもメインと言えるものを挙げてみます。

 

 

①移民政策ー外国人によるアメリカ入国を厳しくする

②貿易政策ーTPPは反対。外国からの輸入に対して高い関税をかける。

③税金政策ー法人税所得税共に大幅引き下げ。

 

 

他にもまだまだありますが、今日は基本的にこれらを題材にしたいと思います。

 

 

まず、①の移民政策ですが、周知の通り、トランプ氏に対する大きな批判を招く最大の要因とも言える政策ですね。メキシコに壁を作るとか、アメリカの永住権の証であるグリーンカードの発行を減らすとか、中東の人間はアメリカへ入国させないとか・・・確かに、グルーバル化している昨今の世界情勢とは完全に逆行する政策ですね。

これが実際に実行されることとなったら、世界はどうなるでしょうか?

 

そもそも、外国人が渡米する最大の要因って何なのでしょう?これは人によってもちろん原因は様々だと思います。例えば、母国が非常に危険な状態にあり、他国で暮らさざるをえない状況に追い込まれているだとかが考えられます。

しかし、多くの外国人が渡米を決意する一番マジョリティーな動機は、おそらく「自分のキャリアをアップするため」ではないかと思います。

 

 

トルコ人やサウジアラビア人の友人が言っていたのですが、アメリカへの留学を決意した理由は、「アメリカの大学や大学院で勉強していた経歴があれば、母国へ帰ったときにエリートとして良い職につけるから」だそうです。

実際、そうですよね。自分にとってメリットがないのにわざわざ飛行機で長時間かけて言って、全然違う文化の場所で生活をしようと考える人はあまりいないと思います。

ほとんど皆、何らかの自分のスキルをアップする目的で渡米するのです。

 

 

そして、その渡米が厳しくなればどうなるか。特に中東地域に住んでいる人はアメリカへの入国が困難になるかと思われます。つまり、自分のキャリア、スキルアップの手段としてのアメリカ留学がなくなってしまう。しかし、これがマイナスなのかと言われると、そうではないような気がします。

むしろ、アメリカで留学しさえすればエリートになることができるという甘い考えを持てなくなるので、自国内で自分の価値を高めるために必死になるはずです。そして今の時代はどんな国にいても電波さえ入ればかなり高度な知識も手に入れることができ、自分の価値を高めるのが昔ほど難しくはない。そのため、アメリカへの入国が仮に厳しくなったとしても、そこに深刻な不満を抱く外国人は案外少ないかもというのが、僕の考えです。だから、移民政策を引き金にして新たに戦争が勃発したりするようなことはまずないと思います。

 

 

 

②次に、貿易政策。トランプ氏は、断固としてTPPに反対しています。それは、他国から安い輸入品が入ってくることによって、アメリカの企業の衰退を招くことになると考えているからです。そのため、他国からの製品を仕入れる際に高い関税を賭け、アメリカ国内で外国の製品が売れないようにする。こうすることで、アメリカ国内でもっと雇用を創出することができ、経済的にも安定するだろうという考えです。

 

 

正直、この考えについてはあまり賛成できないですね。なぜなら、貿易による比較優位というものを完全に無視しているから。僕は、ミルトン・フリードマンの「貿易なんて当事者間で自由にやらせるのが一番合理的な結果を生むんだから、関税はない方がいいよ」という考えにすごく納得しているため、このような価格機構を潰しにかかるような関税のかけ方にはあまり共感できないのです。

 

 

この政策を本当に実行した場合、程度による差はあるにせよ、世界規模での経済は少し停滞してしまうのかもしれません。

ただ、「アメリカの発展のために必要だけど、海外から仕入れるしかないというようなものには関税かけません」、みたいなフレキシブルな政策にすれば、逆に良い方向へいくかもしれません。そうすることで、諸外国は独自のものを作ることに注力するインセンティブが生まれるようになるからです。例えば、日本でしかないような技術とかを新たに作ろうと努力し、それが結局日本にもアメリカにも、ひいては世界中の国に利益をもたらすようになります。日本はこういう面に関してものすごく長けている国だと思うので、トランプ氏の掲げる貿易政策も、内容によっちゃあ諸外国にとってそこまで不利ではないかもしれません。

 

 

最後に、③の税金政策。トランプ氏は、アメリカの法人税所得税を基本的に引き下げる方針を掲げています。これは、アメリカにとってプラスの経済効果をもたらすかと思います。トランプ氏が密かにアメリカ人の支持を得ていた要因も、実はこれが大きいのではないでしょうか。税率が下がると、各企業のフリーキャッシュ(自由に使えるお金)が増大する。すると、企業は様々な投資活動を行うことができるようになり、これが結果的にアメリカ経済を発展させることができるようになる可能性が高まると考えられます。

 

 

しかし、アメリカのような先進国はもう十分に発展しすぎているため、国内での投資先が十分にあるかと言われれば、そうではないかもしれません。例えば今自分が会社を経営していて、1,000億円を渡されて、「これで何か新しい事業に投資してくれ」と言われたときに、国内での投資だけを考えるかと言われたら、そうではないですよね?

おそらく、まだ発展が未熟な国への投資も考えるようになると思います。つまり、税率の低下により膨らんだ余剰資金の投資先を、東南アジアやアフリカのような発展途上国に向けるかもしれない。そうすると、第2のシンガポールやタイのような国が生まれ、世界的に見て経済は発展する可能性があるのです。

 

 

 

さて、このように考えると、トランプ氏の掲げていた政策は案外馬鹿げたものではないかもしれません。むしろ、選挙活動中の大胆な発言から実際は必ず補正が入る(非現実的すぎる政策は周りが実行させない)ため、アメリカの経済的な側面で言えばプラスに働く可能性が高いと考えられるのです。

トランプ氏が大統領選挙で勝利したこと、当選後に市場はリスクオンの姿勢になったこと、つまり株価は上がり円安に動いたことを鑑みると、トランプ氏が次期大統領となることについてプラスに考えている人が意外と多数派であることが分かりますよね。僕も、割とトランプ氏が大統領になったことについてはどちらかというと楽観的に捉えています。

 

 

では最後に、僕らは個人として、これからどのように自分のバリューを発揮していけばいいのでしょうか?

昨日、NewsPicks経営共創基盤の冨山和彦氏が素晴らしい記事を書かれていました。

 

newspicks.com

 

ぜひご一読いただきたいのですが、冨山氏曰く、これからの世界は「グローバル化」の流れから「ローカル化」の流れに変わるとのことです。

たしかに、トランプが次期大統領となったことはローカル化への潮流の変化に拍車をかけるかもしれません。すでに述べたように、トランプはドメドメの政策を掲げているからです。

となると、これからの時代、一番必要とされなくなるのが「中途半端にグルーバル意識を持った人間」だと思います。なぜなら、価値の高い重宝される人間が、これからは以下の2つのタイプに分類されるからです。

 

①ローカル型→ローカルで自分のプロフェッショナルな分野の知識、能力を磨く努力を最大限に発揮することができる人材

 

②グローバル型→海外でネイティブと同じくらいの言語スキルを発揮することができ、かつ、他の様々な分野における知識、マネジメント力を伴わせ持つ人材

 

 

つまり、中途半端にキャリアアップのために外国語を勉強したがために、ろくに専門的な知識とか経験も積めていないような人材が、もっとも必要とされなくなってしまうということです。そんな中途半端に言語を勉強しようと思うくらいなら、もっと専門的な分野の知識や思考を醸成することに時間を費やした方がいい。だから、本当にエリートで、海外でもばりばり活躍できるという自信がない限りは、仕事のために外国語を勉強するのは非効率なのかもしれません。

 

 

まあ、とはいえ個人的には旅行時とかに英語を喋れた方が楽しいので、最低限のスキルはやはり身につけた方がいいかもしれません。ただ、中途半端に言語学習に頑張っちゃうことは避けた方がいいのかなとは思います。

だから、「自分にしか出せない能力」を見つけることがこれからはもっと大切になります。そしてそれを見つけるためには、探し続けなければいけません。自分も、努力するベクトルを間違えないように誰よりも自分のことを理解するよう努め、バリューを最大限に高められるようにしないと再認識させられました。

 

 

なんか最後の方は話が逸れてしまった感もありますが、最後まで長い文章をお読みいただきありがとうございます。